ビスポーク調香は、依頼者の記憶や感情を香りに変換する仕事だ。それは翻訳に似ている。言葉で表現された断片を、素材の言語に置き換える。Obsidian Cedar Gladeでは2008年からこのサービスを続けており、これまでに完成した作品は七十二点になる。

初回コンサルテーション

コンサルテーションはパリのアトリエで行う。約二時間。Célesteは三十種類ほどの原料サンプルを並べ、依頼者に順番に嗅いでもらう。「好き」「嫌い」ではなく、「何を思い出すか」「どんな場所を連想するか」を聞く。この作業で、依頼者自身が言語化できていなかった好みの輪郭が見えてくる。

最初の試作

コンサルテーションの後、Célesteは一週間から二週間で最初の試作を作る。三種類から五種類の方向性を試作し、依頼者に送る。郵送の場合は1mlのサンプルバイアルで。パリ近郊の依頼者はアトリエで直接嗅いでもらう。この段階では、方向性の確認が目的で、完成度は問わない。

調整の工程

試作へのフィードバックをもとに、Célesteは調整を行う。通常三回から五回の往復が必要だ。依頼者が「もう少し木の感じを」と言う場合、どの木か、どの段階で木を感じたいか(トップか、ベースか)を確認する。この対話が、最終的なコンポジションの精度を決める。

完成と納品

最終的なコンポジションが決まったら、Verrerie Dupontのボトルに瓶詰めし、中村紙工房の楮紙の箱に入れて納品する。処方箋はアトリエの金庫に保管し、依頼者には成分の概要を記したカードを添える。完成した香りには、依頼者が名前をつける。

ビスポーク調香の依頼は、毎年二月に受付を開始する。年間十二名の枠は、例年六月頃に埋まる。ご関心のある方は、早めにご連絡いただくことをお勧めする。